churaroom’s blog

日常感じている事時々意識のお話

忘れられない仕事の思い出

20代の頃、
日雇い労働をしていた時の話。


配送助手、
事務所の移転作業、
引っ越しなどなど、


毎日毎日
現場が代わり、
知らない人と仕事をする。


何度も行くと
顔を覚えられて
親しくなって
働きやすくなってくる。


2年ほど働き、
色んな現場に慣れてきた頃、
久しぶりに初めての現場に行く。


仕事仲間から忠告される。

 「あの現場は厳しい」
 「怒鳴られる」
 「下手したら帰らされる」

などなど情報を聞かされ、
私は翌日
いつもより気合いを入れて現場に行った。


現場の担当の人は、
何だか近寄りがたい雰囲気を醸し出していた。


私は気持ちで負けないように、
いつもより元気に、
いつもよりハキハキと、
いつもより笑顔で、
働いていた。


しかし、
現場の担当の人は
不機嫌で、
イライラしている様子。


午前中。
元気よく返事をすると
現場の人はイラついて私に言い放った。


 「お前の目見てると
 イライラするから目見るんじゃねぇ!!」


一瞬何が起きたかわからず、
頭が真っ白になった。


私はなるべく目を見ずに

 「はい。」

と小さく返事をした。


 「どうしてこんな事を言うんだろう?」

私は現場の人にイラついたり、
ムカついたりする以前に、
純粋に興味を持ったので観察した。


階段を登る背中を眺める、
イカつい背中、
一人で頑張ってきて背中、
孤独に感じる背中、
誰も信じられないような背中、


私の思考は勝手に
その人を価値判断していく。


なるべく価値判断をしないようにし、
なるべく目を見ないようにし、
淡々と仕事をこなしていく。


昼休憩の時間。


どっか離れてご飯を食べようと考えていたけど、
何となくその人の側を離れられずに、
気まずい雰囲気のまま
車内で横並びに一緒にご飯を食べる。


年齢や、なぜ日雇いの仕事をしているのか?
など単発的に質問がきて、


私はフロントガラスを見ながら
質問に答える。


現場の人は時たま

 「チッ」

と舌打ちをする。


「この人は不器用なんだなぁ〜」

と感じつつ、こっちからは質問はせずにご飯を食べる。



昼休憩が終わり午後の仕事が始まる。
午前中と同じく、
淡々と仕事をこなしていく。


15時ごろ小休憩に入る。


現場の人は、
自動販売機で飲み物を買う。


 「ガシャン!ガシャン!!」

 「ガシャン!ガシャン!!」


缶缶が二度落ちる音が聞こえた。

すると・・・

無言で私に缶コーヒーを渡してくる。

私は驚いたが、控えめに

 「ありがとうございます・・・」

と伝えた。


現場の人は照れ臭そうに

「チッ」

と舌打ちをしていたが、
何だか受け容れてくれた感じがして
嬉しかった。


現場の人に会ったのは
一度っきりであったが、


私にとっては忘れられない思い出である。

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